青山白雲 10.06.04宇佐美東浦路・宇佐美→網代峠300m 
金曜、晴
<コース>宇佐美駅→東浦路・網代峠→伊東・熱海市界尾根→宇佐美駅
網代峠
 
   ↓峠入口
峠入口  昔江戸から下田に向かうには、三島より天城峠越え経由と、熱海から東海岸沿いの東浦路とあった。この旧道は断続的に残っており、市街地では所々に小祠を見る程度だが、山中に入るとかなりの路が残されているらしい。

 今回、加藤清志著「伊豆東浦路の下田街道」を参考にして順次数回の予定。まずは私の住む伊東で一番近い宇佐美から網代峠を歩いた。

 宇佐美駅8:40出発、駅前の道を北上、亀石峠への広い車道を横切るとすぐ烏川を渡り、右上には比波預天神社のホルトノキの社叢が高く繁るのが見られ、寄り道の価値がある。

   ↓巣雲山
巣雲山  烏川の支流洞の入川に沿って行くと、道幅が狭くなりやがて人家も途絶えると、水場と馬頭観音を見る。川の対岸は1937年創設の中央区立宇佐美学園だ。右へ学園台別荘地への道を分ける。

 この先道標があり直進はナコウ山、左折川を渡ると今回目指す網代峠への登りとなりこれに入る。好もしい山道で、少し先までは軽トラも登れ、作業小屋らしきものも見られたがそれも尽き、鬱蒼とした本格山道となる。

 この尾根ではひとつ上流の多賀地川寄りを登るようになり、樹々の切れ目から南西方向に巣雲山が遠望された。日朝上人が開いたという朝善寺への道がそれを示す石碑より下っている。イワタカンアオイが多い。

   ↓樹漏れ陽の道
樹漏れ陽の道  ハナミョウガ、コアジサイの花を見る。戦中戦後パルプ材不足を補うため植えられたユーカリノキが、特徴のあるツルツルして捩れた白っぽい木肌を、他の樹の中に抜きん出て高く点在させていた。この樹は大平山や他でも見掛けた。

 ずっとホトトギスが遠くで鳴いている。この辺一帯には宇佐美より船で運んだ江戸城用の石が多く、道中にも大名などの刻印石が点在している。1m近いマムシグサを見る。手製の表示がありここよりナコウ山に行けるらしい。

 吉田松陰腰掛石という平らな大石があり、微かに刻印も認められる。150年前松陰は出帆する黒船に乗ろうと、この道を下田に急いだが再びこの道を戻ることはなかった。下田で捕えられ天城峠経由で送られたからだ。

   ↓イワタカンアオイ
イワタカンアオイ  1791年の馬頭観音や、1816年の悪霊を防ぐため村境に建立された、法界萬霊塔を見る辺り、この旧道一の難所として、盲人も転げ落ちたという琵琶転ノ嶮はそれほどでもなかった。

 ここにある一根三種和合の木はスギとクスノキとシイが一体になったものとあるが、クスノキは倒れて株が残るのみらしい。ハルゼミと思われる鳴き声を数回聞いた。ウラジロが多い。

 やがて道が平らになると、大島茶屋跡という網代側の古い道標があるのみの、網代峠に10:25到着した。網代側からはすぐそこまで道路が登っており、広大で立派な別荘地となっていた。

   ↓松陰腰掛石
松陰腰掛石  彼方には北伊豆の山々が連なり、右手は網代湾だ。ここから下り網代駅から帰るとよいが、私は戻りたいので、伊東市と熱海市の境界尾根を目指すことにした。この尾根は宇佐美から眺めるとほぼ平らだったから。

 尾根が見つからぬまま一旦別荘地の車道に降り、巨大なNTTの電波塔に入ったが遮断。少し先で階段があり登ったら尾根上に出た。藪っぽいが境界標柱と太いロープが張られている。

 11:20宇佐美市街からも見える送電鉄塔に到着。南下する巡視路より海が少し見える所で食事にした。この先は打ち切り巡視路で下山とした。

   ↓網代峠茶屋跡
網代峠茶屋跡  プラの階段でやはり太いロープを伝って行く。右側砂防堰堤を見ながら降るが、終いには倒木幾重にも凄く行き詰まり堰堤に逃げること2回、ようやく林道に出られた。

 直ぐで平和村という別荘地、多賀地川沿いになると人家も多くなり、烏川に合流左折で今朝の道につながり駅着13:00だった。

<コースタイム>8:40→13:00 歩行3:55 休止:25 宇佐美駅<1:45>網代峠<:35>送電鉄塔<1:20>宇佐美駅
<歩いた距離>山道5.5km 車道3.5km 合計9km

   ↓送電塔降路より小室山と宇佐美市街
宇佐美市街と小室山 <使用地図>地理院2.5万網代
<地名の読み>東浦路(ヒガシウラジ) 洞の入川(トオノイリガワ) 琵琶転ノ嶮(ビワコロガシノケン)
<地名の異称>網代峠:笠松峠、宇佐美峠(網代側の称)
<参照>サガミヤ発行、加藤清志著「伊豆東浦路の下田街道」 ナコウ山







 下田へと往きて還らぬ松陰の掛けしこの石杜鵑鳴く

 樹々繁る山路を歩む我が上で春蝉鳴きて寂し心地す

 茶屋跡の峠に今は朽ち果てし道しるべのみ草は繁りて           10.06.04 

 

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